2016年10月12日水曜日

飛行場から大阪に麻疹の潜入 −熊本続報そして京大宇宙落語−      【No.66】

 熱い一夏が過ぎました。さっこん暑さ寒さも彼岸まではもはや通じなくなって来ており、この頃の暑さは10月の体育の日まで続く様です。大阪ではこの夏(8〜9月)麻疹が流行りました。
昨年(2015)3月WHO西太平洋地区事務局により日本は麻疹排除状態であると認定されたばかりでした。近年麻疹は海外からの持ち込み事例のみとなり確かに土着の麻疹流行は消えていたのですが、今回のことで2006年以来2回接種となった麻疹ワクチン行政の努力と成果に揺さぶりがかかりました。幸いに9月中旬には10〜14日の潜伏期を経た第2波までの広がりで済みましたが、感染者拡大の実態と感染者年齢構成を見ると底が浅く脆さを抱える日本の“ワクチン”事情が見え隠れしています。2008年4月から5年間に限定し、中学1年生および高校3年生相当年齢の者に定期接種が実施されたにもかかわらず特に大阪での接種率は低く、またワクチン接種による健康被害がクローズアップされて、あらゆるワクチンに対して及び腰になっている日本の国民感情が表在化したとも考えられます。無智、無関心、油断(手抜き)、そして優しさに基づく風習等あらゆる人の弱点をついて、それらをあざ笑うかの如くに感染症は拡がって行きます。空気感染と定義されている麻疹、結核の感染対策を改めて慎重にそして確実に見直していかなければならないでしょう。
 今回は医療関係者も複数名発症しました。発症者を直接診察した医師のみならず、カーテン越しで隣の診察室に居た医師の感染者が報告されています。空気感染の恐ろしさがここに見られます。以前私が勤務していた病院では、受診者と接触する職域の職員には麻疹・風疹・水痘・流行性耳下腺炎の抗体検査を採用時に実施し、陰性者にワクチン接種をしていました。病院のみならず輸入感染症の最前線に立つ人々にも感染対策が必要なことが今回の事例で分かりましたね。世界中には抗生物質(治療薬)の無い感染症、ワクチンのまだ開発されていないウイルス疾患が多数存在しており、しかも現在ローカルに流行している疾患が後を絶ちません。人々の交流は豊かになり、昔の様に海路ではなく潜伏期間中に目的地に着きすぐに入国してしまう短時間飛行が移動の主流になっている現状では、容易に病原体は人の身体に分乗して“侵入”可能となっています。蚊という運び屋もただ乗りで我が国にやって来て上陸を果たします。航路時代の検疫システムはもはや役に立たなくなっているのでしょう。海外との交流がますます盛んになりインバウンドに浮かれるだけではなく、感染対策の行政そして各個人それぞれにしっかりと行うべきことを行っていかねばなりません。

 今夏8月末大自然阿蘇健康の森に家族旅行しました。私が日本健康増進学術機構で関係している複合型滞在健康施設で、豊かなシニアライフのための健やかな生活習慣づくりを目指しています。震災以来復興著しく8月から一部の宿泊施設が開業になっていました。ドーム型の発泡スティロールをベースとする宿泊施設は震災に強く8月いっぱいは南阿蘇村避難所の役割を担っていたそうです。空港からのアクセスは国道57号線の山崩れによる通行不能、俵山トンネル崩落で大津からミルクロード経由の迂回路を辿らなければならず、曲がりくねった道で40分はよけいにかかります。敷地内所々は工事中で複数の施設は使用できませんでしたが、最近のHPでは汗蒸盤浴健康温熱窯十三種やレストランがその後オープンしているようで、震災前のクオリティがリニューアルされた様です。頑張れ! なお、直近に起こった10月8日の阿蘇山噴火では中岳西北西に位置するファームランドは風向きの関係で火山灰は降らず、直接的被害はなかったそうです。
ただカルデラ底東北東に位置する阿蘇市近辺の被害は、特に農家は追い討ち被害となったようです。
http://kenkonomori.co.jp/kokoro/iyashi.html#earth

 9月17日は京都青蓮院での京大宇宙落語制作委員会主催の落語会に出かけました。演目は桂福丸さんによる宇宙落語「生駒のオーロラ」他、旭堂小二三の新作講談「アマチュア天文学の父・山本一清伝」そして京大教授柴田一成先生による「太陽、彗星、瓜生石」でした。福丸さんは私の高校の後輩に当り、最近めきめきと腕を上げ話に情が出始めています。太陽フレアの動画に喜多郎のオカリナ曲が組み合わされて迫力ある柴田教授の講演は圧感でした。 太陽は爆発だ!
http://uchu-rakugo.jimdo.com
実は、近々開かれる高津屋さんでの新町高津屋寄席(落語とジャズ)では福丸さんの前座をつとめる事になりました。ただし落語ではなく未病の高座(講座)で30分お話しする予定です。プレゼンの仕方を一工夫しようと考えていますが、さてどうなるでしょうか、学術の発表ではないので若干緊張のこれから6週間です。

 朝晩涼しくなって来ました。体調管理に皆様お気をつけ下さい。

医公庵未翁 記



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