2017年6月20日火曜日

大山夏山開き -バスで巡る山陰その1-   【No.71】

 快晴の6月3~4日に55年ぶりの大山・出雲方面の観光旅行に出かけました。新幹線で大阪・神戸から岡山に行き、そこから山陰を巡る1泊2日のクラブツーリズムのバスツアーです。今回の我々メンバーは一風変わった取り合わせになっています。小生のコラム2012年10月・11月の№37&38に登場、そしてスケッチ旅行で時々ご一緒する泉北在住のカミサン仲間(アイ1&アイ2さん達)と我が長男夫婦の計6人。新神戸から合流するとさっそくハイランドシングルモルトのオンザロック(アイ1さんの旦那様英君からのスペシャル差し入れ)とアテ各種が座席に回ります。各駅停車こだまに乗車なので、走行距離の割には時間がゆっくり経過して飲みすぎず呑み足らなさ過ぎずにほど良く盛り上がって、生まれ故郷の相生を懐かしく過ぎ、岡山に到着しました。まずは両備バスに乗り換え中国山地を縦断して、初めての足立美術館に向かいます。そもそも、この美術館の年パスを持っているアイ1さんがツアーの発起人。従前に足立美術館に関する書籍購入し横山大観の絵画の下調べをしておいて憬れの美術館を探訪しました。バスツアーなので見学時間は2時間と制限があり、時間配分が分からず庭園と美術館をマイペースで回るには一寸駆け足気味になってしまいました。庭園は鮮やかな新緑に州浜の白砂が眩しく目に入り、小生の好みとしてはやや晴れやかすぎて季節ごとの彩と陰影を味わってみたくなりました。アイ1さんの年パスの意味が分かるような気がします。お土産にはヤスキハガネのペーパーナイフを購入しました。島根は、砂鉄からの玉鋼(たまはがね)造り『たたら』で有名です。アニメ「もののけ姫」にもタタラ製鐵のシーンが出て来ますね。ナイフはいわゆるステンレスの鋼:特銀1号(*)で通常のペーパーナイフよりかなり鋭利に刃は研がれています。お気に入りの道具の一つになりそうです。
 安来から次は松江城。それこそ55年ぶりの登城です。高校2年生の夏休み地歴部旅行は中国山陰側を萩から鳥取へ汽車で東行しました。松江城では中学生部員の一人が帽子をお城の窓外に落としたのを、引率の失調こと慈先生(日本史担当、故人)が手すりを持ちながら破風屋根の上に身を乗り出して取って下さったのが印象的な出来事でした。“しっちょう”の綽名のごとく痩身身軽な体型の先生でした。その夜小生は筋緊張性頭痛:長い階段を登るとよく頭痛が当時起こっていました:で松江皆実館のおいしいお料理をあまり食べられなかったのを覚えています。長男夫婦とはバス下車後行動を別にし、4人で松江城に登りました。2015年に松江城は正式に国宝指定されています。きつい階段でしたが躓きや滑る事無く無事天守閣に登城出来て、爽やかな風が吹き渡り、宍道湖の眺めは抜群! しかしやはりここでもインバウンドが少なからず。バスは地ビール館の駐車場に止まっており、出発の時間まで20分間に4種の地ビール飲み比べの4人です。柚風味もあって女性陣には大受け。思春期に感の強い独りっ子の頭痛はもう卒業していて地ビールでご機嫌の松江城再訪となりました。
 
 さて、ここで問題です。国宝のお城は日本で幾つでしょうか。そして重文は? 答えは末尾。

 初日のツアー内容は盛りだくさんで、松江から大急ぎで宿泊予定の大山ロイヤルホテルに取って返し、チェックインした後40分くらいでバイキングの夕食を搔き込み再度バスに乗車し、このツアーの目玉イベントに出かけました。2017年大山夏山開き祭の前夜祭として開催される【たいまつ行列】に参加するのです。
 大神山神社奥宮から800mと日本一の長さを誇る自然石を敷き詰めた実に歩き難い石畳の参道を約2000人(一本 500円也)が灯油の松明を持って高度差140mを下る神事です。山の安全を祈念するこの神事も今年で71回目。そうだ戦後すぐに開催された事になりますね。小生は酉年72歳ですから妙に親近感を覚えます。大山寺は平成30年に開創1300年を迎えるのだそうです。
 旅行を上手くやりくりして楽しくするにはそれなりの気配り、気配察知が必要です。下調べを十分にしておくに超した事はありませんが、これが歳とともにだんだん億劫になって来ているのは我ながら情けない。出来るだけツアーガイドや案内してくれる人の傍を離れず、団体行動では出来るだけ前の方に詰めて置き機敏に指示に従いよい位置を素早く確保する。でも出しゃばり過ぎず人を押しのけず周辺の人の動きを察知しナチュラルに行動を起こす事がコツと心得ています。オット、社殿裏に列が出来始めています。社殿内で神事が執り行われ、一般の松明行列がスタートするのは19時半以降でまだ1時間半以上あるけれど、そろそろ並んでおかなければ、列の後半になってはスタートがますます遅くなるであろうと、初めてにしては要領よく列の前半に並ぶ事が出来き、まずこれでよし。社殿前のかがり火からもらい火をして参道を下り始めました。高低差があり微妙にドッグレッグする参道が炎の河に変わっており感動の1時間でした。

 ホテルに戻り、6人が一部屋に集合して(勝手に)神事の打ち上げ。ハイランドモルト、スキットルに入れて持参したグラッパ、冷えたビール、ちょっとアテは見劣りするけれど、飲み始めたら盛り上がるこのグループに若さが加わっていつになくハイになりました。シンデレラタイムまでにボトルは空になり、お開きとなりました。今年も無事な大山であります様に!
(*)安来鋼 銀紙(不銹鋼):
銀紙系はクロム含有率を高めたサビに強いステンレス刃物鋼です。炭素量やクロム含有率により銀紙五号、
銀紙三号、銀紙一号などの区別があり、中でも銀紙三号は炭素量が多くクロムの含有率のバランスが
良いため、硬みがあり切れ味が良く出る良質な庖丁に適した鋼材であると云われています。切れ味を維持
するために炭素率が高く完全に錆びないというわけではありませんが、純粋な炭素鋼と比べたときに歴然
とした錆びづらさがあるため、お酢や柑橘類など酸味の強い食材を扱う場でよく使用されています。

国宝5城:姫路城、松本城、犬山城、彦根城、松江城
重文7城:弘前城、丸岡城、備中松山(高梁)城、丸亀城、松山城、宇和島城、高知城

医公庵未翁 記



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