2017年7月26日水曜日

出雲から石見へ -バスで巡る山陰その2-   【No.72】

筑後川流域を中心とした福岡県朝倉市〜大分県日田市のH29九州北部豪雨は未曾有の降水量で多数の山崩れを引き起こした結果、大量の土砂と植林の杉丸太を下流に向かって放出し大惨事を引き起こしました。手入れされない植林地域の山々に大量の雨が降ると、もはや保水力ある自然の構造物ではなく凶器と変貌する人に優しくない(土中深く根が張れない)山に成り下がっているのかもしれません。森林面積(2500ha)が国土の約67%は世界第3位の日本ですが、1300haが天然林、1000haが人工林、残りは無立木地と竹林でこのような被害を起こす山林はその面積だけは森林大国を自慢には出来ないでしょう。山にしたら刹那的な人の行為こそがその原因で、浅はかさを笑っているのかもしれません。否、嘆き悲しんでいるのは山の神様かな。豊かさが戦後の時間が経って行くに連れて虚構に変わって行く様な気がしてなりません。昔は良かったの懐古では無く、オールジャパンの一丸からダイバーシティの一味が生かされる豊かさも今後大切にして行かなければなりません。人はあくまでも自然の一部。小賢しさは上辺に過ぎず、謙虚さと智慧をそして歴史を尊ぶ姿勢を決して忘れてはならないでしょう。

 さて、大山火祭りの夜にハイランドシングルモルトを空けて神事二次会を無事終えて翌朝も晴れ。今日は島根県を西方に走ります。昨日のハイライト松江城、宍道湖を通り豪華列車“瑞風”のコース次第では一泊となる後藤総合車両所出雲支社を右に見て、北に進路をとり出雲大社は正面からではなく西方からアプローチのコースとなっています。おかげで、稲佐の浜と弁天島を見ることができました。添乗員からは残念ながら何の解説も無し。タイミング悪くすぐに出雲大社駐車場という距離なので職務に専念していたと解釈してあげましょう。いたるところに国造り神話に関連する遺跡が散在する出雲の国だなと思いましたが、従前の勉強が旅では欠かせないことに改めて気付きました。地歴部の夏旅行では調べていたはずなのですが、慈先生の日本史あまり勉強しておかなかったな(阪大医学部の入試は社会一科目だった所為と言い訳)。一人で苦笑いしていました。
http://www.izumo-shinwa.com/spot_dtl_inasa.html
晴天にはためく日本一大きな日の丸に圧倒されましたが、あまり記憶には残っていません。サイズは124㎡(畳75枚分)、重さ49Kgだそうで風のある日は相当な力が掲揚ポールにかかることでしょう。出雲大社古代の本殿の高さ(16丈=48m、)とほぼ同じ47メートルあるそうです。ガイドの案内でツアー客は境内を周ります。ガイドさんが大黒様の唱歌を歌うのに合わせられたのは私一人、ひょっとするとツアーの最高齢者かな?! ツアーはスペシャルバージョンで八足門を通り本殿で御参りします。お宮参りの新生児もお払いを受けていました。この大社の参拝は二礼・四拍手・一拝ですので変わっていますがこじつけ?四合わせを願うのだそうです。
しかし神楽殿の注連縄といい巨大仕様の大社。そういえば三内丸山遺跡、吉野ヶ里も同様の造りは同傾向であり、古代人は稀有壮大な宇宙観を持っていたのでしょうか。現代社会は現実的に矮小化しているのかな? 余談:大黒様は多数の女神と結婚したのだそうです。 http://www.worldfolksong.com/songbook/japan/daikokusama.html
https://www.izumo-kankou.gr.jp/676

 出雲蕎麦の昼食後は石見路をさらに西へと走り、世界遺産の島根県大田市石見銀山へ。快晴ゆえに躰がまだなれぬ暑さの中、銀山資料館から龍源寺間歩まで往復約5kmのトレッキングは汗びっしょり。現地ガイドの方が一寸個性的で、殆どを後ろ向き歩行すなわちツアー団体に向きながらおしゃべりをして道路を歩いて上がる(下りもなかなかのスピードで)得意技を披露しながら(もっともウォ~というどよめきと拍手を要求されましたがこれはご愛嬌)、銀山の歴史と過去の栄光を解説してくださるので疲れを感じぬ爽快な2時間となりました。権力者による銀山の奪い合い、鉱山には必ず付きまとう健康被害等々はたとえ解説されても軽く触れられ殆どの人が記憶には残らない内容かもしれません。鉱夫あるいは銀の精錬(灰吹き法)に伴う鉛中毒など劣悪な環境化で輝く銀が生産され、一時期世界の銀の1/3を生産していた日本のかなりの部分がここ大森(旧名佐摩)で生産されていて、SomoあるいはSomaのブランド名が世界で認識されていた事は、そのクオリティの良さの証左でもあるのでしょう。鉱夫が30歳を超えたら赤飯と尾頭付きの鯛でお祝いをした事実は産業衛生の原点を観る様に思います。坑道(間歩)内に入りその狭さ、暗さの中でイメージした作業環境に思わず頭が下がりました。メンタルヘルスはどうだったのでしょうね。
引用:Wikipedia
・石見銀山では砒素の鉱石は産出していないが、同じ石見国(島根県西部)にあった旧笹ヶ谷鉱山(津和野町)で銅を採掘した際に、砒石(自然砒素、硫砒鉄鉱など)と呼ばれる黒灰色の鉱石が産出した。砒石には猛毒である砒素化合物を大量に含んでおり、これを焼成した上で細かく砕いたものは亜ヒ酸を主成分とし、殺鼠剤として利用された。この殺鼠剤は主に販売上の戦略から、全国的に知れ渡った銀山名を使い、「石見銀山ねずみ捕り」あるいは単に「石見銀山」と呼ばれて売られた。
・1858年(安政5年)に記された『濟生卑言』では西洋医学の知識も交え石見銀山における鉱山病として、坑道に発生するガスと鉱夫の呼吸による二酸化炭素やカンテラからの油煙充満による酸欠、粉塵による気管支炎、戴光不足による弱視、栄養失調などを指摘し、その対策として薬草の蒸気を坑道へ送風する「薬蒸気法」や絹地に柿渋を塗り梅肉を練りこんだ防塵マスクの「福面」を開発して効果を上げた。石見銀山周辺で梅の木が多く見られるのはこのためで、梅紫蘇巻のような郷土料理も生まれている。
http://d.hatena.ne.jp/fujimoto_daishi/20120915/1347710513

梅雨明け後曇天が続いている関西です。なかなか読み進めない最近の本を紹介します。
「なぜペニスはそんな形なのか ヒトのついての不謹慎で真面目な科学」
  ジェシー・ベリング 鈴木光太郎訳 化学同人
「みすずと雅輔」 
  松本侑子 新潮社

 昨日関西トータルヘルスサポートセンターの理事会で理事長の櫻井さんから気になるキーワードをゲットしました。
“アーシング earthing” 
赤血球の連銭現象等の於血(おけつ)状態とも関係するのか、荷電体が体内で流動すると電位が生じます。体内で何が起こっているのか。生体の時々刻々の変動から派生する健康負荷〜障碍はこれから解明されて行く分野なのかも知れません。
http://www.npo-kthsc.jp

向暑、皆様御身体ご自愛ください。

医公庵未翁 記



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